愛犬と家族との思い出が詰まった車のお話です。

これは、私が小学生の時のことでした。
父が突然、「明日は家族全員でお出かけしよう。びっくりするよ。」と言いました。何だろうと不思議に思いました。
そして翌日、父は私たち家族を車に乗せ、目的地も告げずに出発しました。かなり長い時間運転していたので、私は眠ってしまいました。
到着と同時に目を覚ました場所は、ブリーダーの家でした。父は私たちを連れて中に入りました。出迎えてくれたブリーダーさんと話しながらある部屋に入っていくと、そこには子犬がいました。ラブラドールレトリーバーでした。小さくて、大変愛らしかったです。
「ワンちゃん買おう。長年、家で犬を飼うことがお父さんの夢だったんだ。」と父は言いました。
これから我が家の一員となる子犬を乗せて、車は出発しました。クゥーンクゥーンと可愛い鳴き声がしたので、家族は皆ほっこりしました。すると、しばらくして、子犬がもぞもぞし始めました。不思議に思い見ていると、大便をしました。とっても臭かったです。その匂いが車中に充満して 大変なことになりました。でも、可愛らしかったのでいい思い出です。
その子を連れて色々なところに遊びに行きました。公園、川、海などで思い出をたくさん作りました。出かけるときはいつもゲージに入れて、車の後部座席に乗せていました。甘えん坊の犬は、家族と一緒の席に乗りたそうでした。犬は寂しがり屋で、特にお父さんが好きだったので、お父さんが車を降りて出かけるときは鳴いていました。
現在は犬が亡くなって6年が経ちます。遊びに出かけた車に乗って、墓参りに出かけるのは何だか変な気持ちでした。
犬はいなくなったけれど、うちの車の後部座席についている引っかき傷は確かに愛犬のもので、この思い出は一生消えないと思います。

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